映画「ハーブ&ドロシー」を観てきました。
NYマンハッタン、1LDKアパートに住むヴォーゲル老夫妻が長年に渡り少しずつ集めたアート。二人のコレクションの決まりは二つ。ひとつは自分達の収入で手に入れられる物。そして小さいそのアパートの部屋に入る物であること。
熱帯魚と猫、亀と静かに暮らす暖かみある人柄の二人は、アートに対する時は誰よりも情熱的。妻・ドロシーが図書館司書で得た収入で暮らし、夫、ハーバードが郵便局で得た収入で作品を買うのです。時にはアーティストを訪ねて作品を買う二人。必ず、アーティストの作品全てを見る。そして作者の内面や歴史を見通し、その中からじっくり時間をかけて欲しい作品を選び、そして値段交渉。時には値が張りすぎてあきらめる物も。
その素晴らしい審美眼と人柄でアーティスト達にとっても特別な存在になっていくのです。バカンス中の猫の世話との引き替えに作品を渡すアーティストや、逆に彼らに自分の作品を見て欲しいと言うアーティストも現れるほど。
いつの間にか集まった、4000点以上の現代アートコレクションはどうやってこの部屋に収まるのかと仰天するほどの量が壁、天井、ベッドの下、ソファーのうしろにと部屋いっぱいにあふれている。
そして何より、痛快なのは作品を金儲けの道具に使わない。と、二人が決めていること。
作品は決して売らない。
こうして集まった素晴らしいコレクションは、いよいよワシントンのナショナル・ギャラリーに寄贈されることとなった・・と言うようなお話。
単なるマニアの話とも言えるけど、何より暖かい気持ちにさせてくれるのはこの夫婦がお互いをとても大事に思っている事と、実は自分達だけでなく、彼らの周りにある全ての物を愛している姿勢。
アート、猫、亀、熱帯魚、アーティスト達・・そんな全てに愛して愛されている豊かで幸せな夫婦。
自分達の好きな物、欲しい物、要らない物、その活用方法、そんなシンプルな事への情熱とまっすぐな生き方が奇跡を生む。これが本当に難しい事がと思うからこそ、この二人にただただ感動してしまうのです。
何かを感じる事ができるはず。オススメです!
東京都写真美術館ホールにて上映中☆
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